小諸市「まちづくりの変革に挑む」〈2014~2016〉

  城下町として栄えた歴史を持つ小諸市は、過去の城下町的な「中心と郊外」という都市構造を引きずり、革新的な進展を生み出せずに閉塞感が漂っていました。市政はそんな現状を打破すべく、都市計画上の大事業を進め、都市機能(市庁舎/図書館/病院/文化施設)を衰退した中心市街地の一カ所へ集中させて、まちの効率化を計ろうという「コンパクトシティ構想」を進めています。小諸の未来を左右する政策は、先の市長選の争点となり、「住民投票によって決定する」と政策を掲げた候補者が新市長に就任しましたが、残念ながら住民投票は実現されずに、小諸市は現在コンパクトシティ構想決行の道を歩んでいました。

そんな小諸市の現状を見て、「経済効率優先のコンパクトシティ構想によって失われるモノ」そして「市民の声が反映されない都市計画の決行」に疑問を感じていたので、小諸市のまちづくりに一石を投じる活動に挑みました。ただコンパクトシティ構想を進める市政に水を差すような活動をするのではなく、より良いコンパクトシティにする為の活動を目指し、次の2つの時間軸「過去と未来」を知ろうと、2つの調査を行いました

①まちなみ調査
一つは<過去~現在>の小諸に根付く歴史と文化の継承。

②市民アンケート調査
そしてもう一つは<現在~未来>新しい街への生まれ変わりに寄せる市民の声である。

「あなたの住む町は、今、どのような状態ですか?」

そんなアンケートの問いに「73%が衰退」と回答したまちが、今回私達が活動を行った長野県小諸市である。

   1年を超える活動によって、市民・行政・メディアに大きな波紋を投げかけ、私たちが提唱した『地域別まちづくり方針の策定』がコンパクトシティ構想と同時に進めるべき重要な方策として市政に認められた。そして現在、若手建築士の2名がまちづくり方針協働会議の場へ席を頂くまでに至った。
これは建築士会の若手が市政に疑問を抱き、受け継がれたまちなみ文化と、期待と不安を抱える市民の声を掘り起こして、まちづくりをより良い方向へ導く為に市民と市政へ斬り込み、まちを動かし始めた活動である。