一本柳の家

一本柳の家

【 第10回佐久地域景観賞 優秀賞 / 第13回佐久地域建築文化賞 優秀賞 】

所在地:長野県佐久市 / 用途:専用住宅 / 家族構成/60代夫婦 / 延床面積:110.14㎡(33.31坪) / 竣工:2013.11

佐久平一本柳の住宅地に位置する60代夫婦の「終の住処」として依頼を頂き設計しました。住宅地と田園の混在する佐久地域の農村風景に溶け込むような、和風でありながらも古さを感じさせないシンプルなデザインとして細部まで丁寧にまとめました。

静かで穏やかな老後の生活空間を望む夫婦の一方で、前面道路は通行者が頻繁で人目にさらされやすい敷地環境にありました。しかし、安易に閉鎖的な高い塀を設けず、視界が開けてプライバシーを確保する方法を検討し、2つの手法を同時に用いる事に至りました。
1つ目は、室配置を道路側から奥に受かって「玄関→客間→LDK→個室→寝室」のように<パブリック→プライベート>とプライバシーを求める室を順序良く階層的に配置すること。2つ目は、階層配置と同時に南面の開口部を雁行に後退させて配置し、道路側からの視線を遮り、後退したスペースにデッキ空間を配置して軒の深い半屋外を設けました。デッキで日向ぼっこを楽しんだり、リビングでゆっくりと横になって庭を眺めたり、寝室前には人目を気にせず布団を干したり、各室に求められるくつろぎ空間とプライバシーの確保を実現しました。
また道路境界ギリギリに塀を設けず、敷地内へ後退して配置する事で、駐車スペースとアプローチ空間を道路空間へ開放しています。境界まで構造物が迫った閉塞感を生じる家並みとは違い、この開放された空間が道行く人々にゆとりと広がりを与えられる「まちなみ景観」の形成を目指しました。
夜には道路に面した小窓から室内の灯りが満月のように浮かび上がり、障子の桟で家主の苗字にまつわる「井」の字が影を添えたりと、ちょっとした遊び的な演出も付加しています。植栽が道路に四季の変化と彩りを添えながら、住民のプライバシーを確保した、ちょっと新しくて佐久らしい和風デザインの住宅です。